太陽光関連業者の大型倒産が止まらない。帝国データバンクは10月8日、太陽光関連業者の2021年度上半期の倒産件数が39件にのぼり、3半期ぶりに増加に転じたと発表した。負債約87億円を出し倒産したアンフィニなどの大型倒産が発生し、負債総額は前年同期と比べ3.4倍も増加した。脱炭素社会の実現を目指す裏で、大型倒産が増え続ければ、2030年の46%削減の目標の達成すら危うくなる。
太陽光関連業者の倒産件数は、固定価格買い取り制度(FIT)における買い取り価格の引き下げと連動する形で、2014年以降、増加傾向をたどっている。2018年の96件をピークに、2019年81件、2020年79件、そして2021年上半期(4〜9月)の倒産件数は39件となり、3半期ぶりに増加に転じた。倒産件数がこのままのペースで推移すると年間80件を超える可能性もある。
2020年度以降、顕著なのが大型倒産の発生だ。
2020年9月に破産したヤマダエコソリューション(負債約37.7億円)、2021年3月に民事再生法を申請したJCサービス(負債約153億円)とその関連会社であるグリーンインフラレンディング(負債約128億円)、法的整理にはなっていないため今回の集計には含まれないが、5月から営業停止状態が続くテクノシステムなど、大型倒産が増えている。
2020年度下半期および2021年度上半期の負債総額は300億円を超えた。今上半期もアンフィニ(負債約87億円)などの大型倒産が発生し、負債総額は前年同期と比べ243.8%増となる約364億円にのぼった。
集計を開始した2006年4月以降の累積倒産件数は600件を突破した。
日本が脱炭素社会の実現に大きく舵を切る中、岸田首相率いる新政権でも太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーを最大限導入する基本方針に変わりはないものの、その一方で、原発再稼働やその先の建て替え、新設を目指す動きも加速するとみられている。
帝国データバンクでは、「足元では太陽光関連の個別企業の信用情報が目立ってきている。現在の均衡が崩れると来年度以降、年間80件のペースを大きく超えてくるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。脱炭素を目指すその裏で、太陽光関連事業者の倒産件数が増え続ければ、2030年のCO246%削減目標すら達成が危ぶまれる。
出典:帝国データバンク
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